諦め続ける薬

忘れることは、疲れに対する最高の薬。思い出に対する最悪の薬。

映画感想 - 劇場版魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語

 所用で遠くまで出る必要があり、しかも夕方は暇だったのでレイトショーへ。劇場版魔法少女まどか☆マギカ叛逆の物語。
 総集編も観たかったものの、劇場が遠かった。今回は予定がありとてもタイミングがよい。
http://www.madoka-magica.com/

 ネタバレはないわけではない。というかあるな。ところどころぼかしつつ。何の情報も観たくないという方は閉じていただければ。

 格闘ゲームで例えると、今まで見たことのないコンボで10割決められやりたかっただけーと言われたような感じ。そりゃそうでしょうよ! と言いながらこちらは座ってみている。なかなかない体験。これはtwitterでも書いた。
 以降続きを読むより。あとで追記するかも。

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※ここから注意※


 まず全体的な部分。
 「返し」という単語がまず浮かんだ。
 アニメ版を思い出した時の印象としてしっかりと押し切った感じがあって、これ以降はある程度スピンオフ位になるのではないかと思っていた。ところが劇場版は、しっかりその「押し」を踏まえつつ、「返す」ことで完成させている。そんなことを見終わった後考えた。

 彼女の話であることは間違いない。
 本編のいくつかの部分で、彼女自身が言っていた、自らの目的。アニメ版であろうとそれは貫こう貫こうとしていて、その結果、でも、ということではあった。それをまた、さらに貫いたとしたら。
 だからこその笑み。だからこそあの瞳。楽しげで哀しげな彼女の姿は、いつまでも残る。


 開幕からOP。やりたかっただけだろ! と思ったその一。
 より統一感を増した世界。最初それは映画化によるものだと思っていたけれど、思い返すとこれほどの仕掛けはない。
 アニメ版を見た人であれば、つい「ここからの展開」を考える。「どこで裏返しになるのか」思い浮かべる。アニメ版でもこうやってさらに潜られたのを忘れていた。

 中盤の謎をおかれる展開。とても好み。
 手がかりは彼女の違和に関して。私は普通に引っかかっていたことに気付く。違和は「ただこの世界だから」だと思っていた、でも、という。
 しかし彼女たちは可愛い。テーブルのシーンとか登校とか屋上とか。変身の所の音楽をまた聞きたい。
 そういえば特典フィルムはこんな感じ。ほむら。画像そのうち消す。
 http://bit.ly/17KAZzQ


 彼女と彼女については、こうなったらどうなるかと思っていた。物凄い迫力。圧倒される。結果、こうはなったけれど、おそらくそれは彼女があれを経た状態での彼女だからなのではないかと思う。ただあれだけ本領発揮というのはなかなかに燃える。ここもやりたかった部分が大きすぎるだろと思った部分。
 彼女についても格好良く描かれていた。彼女の性質。そして後半は、アニメ版時間軸を踏まえたことでああ繋がっていく。よくある予測である「途中のループが描かれるのではないか」というものが頭から離れていなかったから、いい驚きだった。同時に語られる彼女の存在については、自らも言っていたように、それのさらなる支えのためではないかとは思う。


 そしてあの役目が登場。彼女の気持ちが明かされる。
 12話の終盤、いやそれに限らず、誰かに語りたくて仕方なかったであろう、彼女の物語と感情。
 ここでの彼女の決意は、彼女にとって絶対の選択であっただろう。具現化したあの凄惨さ。
 あの役目にとっては、当たり前のように、それすらあまり予測できてなかった。
 そしてそれでも、彼女に手を差し伸べる彼女。彼女。彼女。彼女。そして彼女。


 ここまでが仕掛け。

 ここからは、彼女が発した一言に尽きる。
 押しに対する返し。貫ききれなかった貫き。
 だからこそ、あれほどの凄味。
 二つに分けてでも奪い掴みたかった、彼女。

 終盤。
 記憶に関しては、かなり、悲しいなと思った。
 ああなっていくというだけでなく、それを彼女が抱えるのではないかということについて。
 そしてそれに関しては、当の彼女も抱えている。それこそアニメ版で、こぼれた、あの表情のように。

 満足そうだった、そしてなによりも恐れて続けるであろう彼女。
 誰にも万全かどうかわからない。
 それでも確かな、抱きしめ。
 彼女が、編んでくれたものを、彼女が確かだと思っているように。

 閉じる。
 結ばれて初めて、返しが、完成する。