諦め続ける薬

忘れることは、疲れに対する最高の薬。思い出に対する最悪の薬。

田の話

 田の話をしていた時。
 稲刈りの際、鎌を使った経験はある。
 機械が発達した数年前でも、未だにその作業が残っていることが多い。
 それこそ自分の親や親戚は鎌刈作業なんてお手の物なのだろうけれど、あれはコツがいる。
 そして私は、あの作業ができないという致命的な性質があった。
 それは、左利き。
 鎌を右で持っても、力が入らず刈れない。左で持つと、刃の位置が逆になる。裏返してもうまく切れない。
 まいったまいった。
 そんなわけで、私はすぐ戦力外になったのだった。子供の頃は手伝う気も薄かったし、別に良かった。