諦め続ける薬

忘れることは、疲れに対する最高の薬。思い出に対する最悪の薬。

麻雀初心者に教える時のネックメモ

 小学校から高校までは麻雀を教わっていたが、高校からは教えることが多くなってきた。
 教えた人で私以上にはまった人は何人かいるし、彼らはおそらく私より勝率を保てる。勝利の適性について興味があるわけではないものの、どう教えるかについては悩むところである。
 その手の本はいくつも読んでみたし、今ではそういうサイトも多い。麻雀ゲームではナビゲーション機能すらある。ただあまり決定打というものはない。……ないかなー、決定版。この本だけ読んでおけばできる! みたいなの。
 口頭で教えようにも環境などの問題はあるが、とりあえずは「麻雀をやったことがない人が初めて座った時」や「やり方の概要だけ知っている時」によく引っかかる例についてメモっておきたいと思い、書き出してみた。たぶんもっともっとあるけれど、要点だけ。ちょっと特殊な書き方をしているので、経験者には違和感があるかも。

  • 牌の認識

 やったことのない人にとっては、かなりの枚数の牌をかきまぜたり並べたり倒したりするゲームという認識はあるものの、その構成については理解していないことがある。自称初級者の人が「これって全部4枚ずつなんですか!」などという例に遭遇したこともあるから。
 「牌の全体枚数と各枚数」「主な種類」「マークと数の認識」あたりがネックか。
 これらは教えることが楽で、しかも覚えてしまえば頭から離れることはないので、きちんと覚えてもらうことを意識すべきかもしれない。教える側としては当たり前すぎてむしろ抜かしてしまいがちだからだ。
 呼び方は後でもよいだろうというのは友人との共通認識。私の父が発する「チャッソー」は私自身しばらく認識できなかった。数字とマークさえしっかり把握できたら。
 あとはまあ、ドラ順番か。東南西北、白發中、九と一。これはドラの時に説明するくらいなのでそれほど重要視しなくてもいいのかもしれない。ただ当然「東南西北でそろったらなにかないの!」とか「これってオールマイティ!」などについてはケアしないといけない。

  • すでにある麻雀見学情報

 かなりの枚数の牌をかきまぜたり並べたり倒したりするゲーム、という認識が残っているおかげで、初心者の話が急に飛ぶことはある。それは教える上でいいことではあるものの、そこでの誤認が、テストプレイでのミスとして散見されることは多々あった。
 例として、牌の積み、手牌の並べ、ツモり方などは、むしろ外から見ていた認識があるために初心者でも難なくこなすことは多い。
 というわけで、ここでサポートすべきは細かい部分。教え方としてはテストプレイが妥当かもしれない。初心者本でもしっかり書いてくれるところはある。多牌少牌なんかは初心者にいくらでもあることだし、ゆっくり教えていくべきだろう。
 そして、それとは逆に、知識が邪魔をして引っかかりが大きいことがある。
 例は発声、あがり方などに関して。初めて牌を触った方三人とやった時、思った以上にツモとロンの違いを教えるのに苦労した。自分と相手という認識だけでは足りなくて、「あと1牌が出た時に」というのはあまり他のゲームにない特徴なので教え方が難しい。
 発声に関しては知識の範囲ではある。覚えれば染みこむし、麻雀ゲームがあればすぐ慣れるだろう。初代GBの役満のように、鳴くときにしっかりポンチーカンロンナガレを選択しないといけない、なんてハードルの高さは現代にはない。
 ただ、このゲームは「発声しないといけない」という誤認がある場合がある。よく言われる「初心者は鳴きたがる」というものには、「鳴いた時のゲームルール上のメリットデメリット認識の欠如」「早く一定形式に揃えたい感情」に加え、この誤認が引っかかっているような印象がある。

  • 一翻縛り

 長く書いちゃったな……やっとこれ。
 これは初心者とのテストプレイではよくあること。俗にいう「役なし」。
 訊いてみるとこれには原因がいくつかあるようで、単純な「役を知らない」だけではなく、「一定の形式に揃える」+「役を一つ以上つける」ことを認知していない状態であるとか、「役と点数を結び付けられず、なぜ役を付けられたら点数をもらえるのか、役や翻数によってどうして点数が変わるのか」ということを教えてもらえない状態だとか、様々。あとは「鳴いた時の役有効無効下降、もしくは状況による役に関する知識」も入れないと、牌を倒した時に役がない状態になる、なんてことも。
 これは大きなネックその1。正直、思い浮かんだ役でしっかりあがれるようになれば初級者を名乗っても構わないだろうと個人的には思っているし、ここさえまず抜け出せば、と思う。このハードルを越えると役の完全知識がなくてもゲームになるからだ。
 ここの教え方の決定版をまだ私は知らない。
 役がないと点をもらえないのとか、役の複合で点数が上がることとかは、ポーカーあたりを喩えに使えばいいのだろうけれど、ポーカーを知らない人も当然いる。
 「一定の形式に揃える+役を一つ以上つける」ことに関しては徹底的に教えてあげるのが一番なのかな、とも思いつつ、そうすると「リーチ」で意外と引っかかることが多い。そうすると役になる、というのは説明しにくいのだ。
 「役と点数を結び付けられない」に関しては、当然得点計算式が答えではあるものの、それは初心者には重い。軽く見せるくらいがいいのかもしれない。符計算はまだまだ遠いだろうし。
 偶然役について教えるのもなかなか。先に教えてしまうとそれ狙いばかり、なんてのはよくあることだ。
 七対子から教えるのは私も冗談でやったものの、あれは牌構成が例外であるため、あまり万能さを打ち出すとそこからの脱却が難しい。ある先輩は、七対子から教えたら白發中をわざわざ対子に揃えなおしてあがった例を見たという。
 「鳴いた時の役有効無効下降」は、これは良いとこの間褒められた。役一覧に書いてあげるだけ。「鳴いてもOK」「鳴いたら無効」「鳴いたら点数下がる」。そうすると知識の一部になるからとても楽とのこと。麻雀用品についている役一覧は簡易版であるため、こういう点を省いていることが多い。本だとしっかり役紹介ページに書いてあるものの、ずらっと役を並べたページには書いてなかったり、なんてことも。

  • 待ち方

 先述した「あと1牌」とか、その辺。待ちの形まで教えると初級編になるけれど。
 これはあがり方につながるということで、抜かすわけにもいかない。
 他をそろえてあと1牌で特定形式になる状態、すなわち「テンパイ」に関する知識なのでその辺のワードと絡めて教えるべきか。

 考え中。これも教えにくいよねー。「ある特定の形式」。これさえすればリーチかけられるよ、という教え方だとこり固まって点数が上がらないし。例外に関しては例外ときちんと教える。

  • 役の知識

 もう疲れた! なんでこんなに文章長くなるんだ!
 大きなハードルその2。
 もうこれは記憶、と言っちゃう経験者はかなりの数みてきた。それはそうなのだけれど、初心者はそう言われると離れてしまうことがあるので意外とそれは荒い。それはそうなのだけれど(二回目)
 かといって教えるのも……。出現頻度でソートして、まずは主要な役から、が妥当かと思い、この間ホワイトボードに書きだしたものの、当然ながら手を作るのが第二ネック。結びつきにくい。工具の知識だけ押し込まれても用法を知り体験できないと作業が覚束ない、というわけだ。
 こういうのはゲームや漫画本、なんて意見もあった。あとは他の人の見学なんて意見も。経験者があがった時に一つ一つ説明してあげるだけでも十分な効果はある。

  • フリテン

 麻雀におけるルール特徴。
 教える上では「自捨牌フリテン」「同順フリテン」「リーチフリテン」に分けないと引っかかるっぽい?
 ただ「捨てた牌ではあがれないんだよ」と教えるだけだと後々に影響が。

  • ドラ

 表示牌の次。それ自体は役にならない。などなど。意外とこれは「ボーナス点」の一言で何とかなりそう。赤ドラとかもその都度教えれば。

  • 点数計算

 ハードルその3。ここまでくると初級者脱却篇に入るのであまり詳しくは書かず。
 初心者にはどのへんくらいまで教えるのがいいんだろうか。「役が多いと点数が上がる」とかか。あ、あと基本的な、「25000ずつみんなで持って、そこから取り合ったりする」なんてところは説明で抜かしがち。
 父親からは、六本でマンガン、八本でハネマン……を小学校の頃教わった。これから入るのはいいかもしれない。明快。得点も1.5倍、2倍……だからそんなに複雑ではない。それ以下の点数は経験者に数えてもらう、というフォローを加えておけば十分。
 親のメリットデメリット、ツモロンの払い方なんかはここと絡めて。


……終わり。長くなって疲れた。