諦め続ける薬

忘れることは、疲れに対する最高の薬。思い出に対する最悪の薬。

テスタメントシュピーゲル2Kindle連載版購入・感想

……連載ごとに感想更新……
(更新完了 2015/02/19)


 テスタメントシュピーゲル2を購入。
 ついにあの続きが、ということで、amazonkindle本の買い方から調べた。単純にamazon kindleアプリをiPhoneに入れてID入れておく→amazonでポチる→クレカかクレカプリカで決済→アプリでダウンロード。
 iPhoneでの読み心地に関しては別にエントリを書こうかな。一回買えばあとは自動で更新されるし、連載更新メールも来るし分かりやすい。


テスタメントシュピーゲル2 下<テスタメントシュピーゲル> (角川スニーカー文庫)
冲方 丁 島田 フミカネ

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テスタメントシュピーゲル2 上<テスタメントシュピーゲル> (角川スニーカー文庫)
冲方 丁 島田 フミカネ

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KADOKAWA / 角川書店 2015-05-01
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 以降、核心的なことは書かないようにと思っていたものの、当然ネタバレを含むので注意。

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 配信第1・2回。
 プロローグは、過去を意識しつつ、最後の彼女の姿に1巻のラストを思い出した。《よう――あたくし様》。この辺はtwitter@ubukata_summitに投稿されていた。
 一章開始。電子戦のところから。飛ぶ夢の設定がとんでもない。ここまで考えてあったとは。胡蝶の夢はとうぜんスプライト1だったわけで。
 しばらくするとテスタメントシュピーゲル1巻との繋がりがようやく見えてくる。この駅遭遇シーンから、1巻を思い出すようでなかなか嬉しい。
 あの数列に関しても急に話が進む。1巻の携帯電話と数列のシーンは震え出すようだったが、この数列に関して詳しい示唆は与えられてなかった。この2巻ではそこに次々とメスが入る。どうしてこの並びなのか。フロー状態の膨大な情報量が、ほぼ答えのように与えてくるからこそ悩ましい。「お前に解けるか」。
 考えてみると、一巻での夕霧の思考の加速、このタイミングと連動しているのかもしれない。

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 配信第3回。
 1巻でも見たシーンの別サイド。MPBのみの仕事かと思いきや、実は関わっていたというのが驚き。
 乙のカタナに関するエピソード。1巻中盤で転送兵器として登場していたもの。なぜ持つことになったのか、というのが描かれる。
 それだけに、ラストはぞっとする。出てくるあの記号。撃たれた理由、というところに焦点が当たっていく。
 雛も新たな局面に進んでいくようで、危なっかしくも頼もしい。「それ、雛っしょ」。

 ところでamazonページをみると連載が全6回予定→全22回予定→全14回予定と変わっているけれど、いずれにせよ終わる気がしない。あのボリュームを思い出すと。

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 配信第4回。
 次々につながっていく感触。面白い。第3回でも感じたけれど、MSSサイドだからか、情報を得る量が多く、敵の用いる用語が明らかになっていくのが楽しい。スプライト3巻の話とか。蟻人間とか。
 雛の任務から、敵の用語や目論見がわずかながら明らかになっていく。
 そして敵陣営。やはり最初の方の事件がイレギュラーだった様子。そうなると誰がどちらについているのかというのが大きいのかもしれない。
 1巻のラスト、涼月にもたらされた目的は、ここからきていたのか、とも。
 潜入捜査官の話は、MPBサイドでは一つも出てこなかった。これらはこちらで書かれるのだろう。
 鳳のフロー解消、飛行機が落とされた要因の一つと狙撃理由を新たに知った乙、そして一章ラストの雛。
 上書きのシーンは妖艶だったけれど、よく読んでみると連載第二回の敵とのシーンに対する「上書き」であるわけか。何度も読むと新たに分かってくるのがこのシリーズ。

 それぞれが対峙していくものが、膨大な情報とともに描かれていく。

 二章。
 MSSサイドは示唆されていた通りこちらの局員が登場。
 吹雪の暴走も続く。MPBサイドではいつの間にかという印象だったが、こちらでは危ないことをばんばん言っている。ただ水無月との会話によって気が合うことをみても、皆を守ろうという気持ちが強く、感動的である。「今、そのときの借りを返す」。

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 配信第5回。
 指輪の確認から。ブラックストーンはテスタメント1巻で登場がかなり少なかったものの、こちらではしっかり登場。この共同捜査はオイレン2巻や4巻両サイドを思い出させられる。
 船の事件に関して、ようやく情報がそろってきた印象。あの人とキャラバンだけでなく、枢機卿側にも目的があった、ということか。雛の洞察が気になるところ。もしかしてテスタメント1巻での誰かの思考の加速描写と重なっていたりしないだろうか。
 本書での戦闘が激化。乙サイド。グスタフも長らく謎ではあったが、ようやくその描写がなされてきた。そして彼の制止が見事に裏をかいたことになるとは。
 引っかけも含め、目指すべきことが分かってきたようで、これからも楽しみ。

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 配信第6回。
 未来党サイドが分かりやすく描かれ、ようやく陣営が明らかになった。やはり3巻から続いているのだ。ようやくそれぞれがリヒャルト・トラクルに近づいてきた感じがある。追ってきた捜査官の描写もそう。
 いったいどちらがどちらなのか。分かりやすく違いでもつけてほしい! そして彼らはいったい何を壊そうとしているのか。
 捜査官の話。《ガラガラヘビ》もそうだとは。設定の深さ。
 そして鳳の話もどんどん進行していく。大事なことを忘れる、というのは、テスタメント1巻の終盤を彷彿とさせる。あれは敢えて忘れるように努めていたという話でもあるが。

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 配信第7回。
 潜入捜査続きから地下道戦まで。
 イギリス勢の準備力。この変装ネタはもしかしたらオイレンサイドでもあったのかもしれない。鳳の既視感も気になる。そして「敵」の驚き。まあ機械化は確かにされていたが、おおっとなった。
 乙サイドではあのキャラが出てきたことに笑った。確かにまだ生きていたか。
 オイレン一巻序盤以来、ついにスナイパーの姿が登場。こうしてみると雛は様々に巻き込まれている。
 なるほど夕霧の行動は本当の意味でウルトラCだったわけか。あらゆるものを明らかにし、完全に対抗できる術。このあたりでの思考の加速は何度も読みたい。涼月の推理に関しても、能力とこの思考の加速が聞いていたのかもしれない。アナグラムの気づきはどのタイミングだったろうか。もしやこのくらいだったのではないか。
 逃げろと言ってあげた涼月。それによって決意する雛。今連載の最後の引き、思考の加速。
 これこそが答えなのだろうか。敵の目論見。

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 連載第8回。
 戦闘が苛烈に。鳳対「彼女」。乙の防護。雛の疾走。
 なるほど「彼」が、敵にも知られていないというのは大きいのかもしれない。ある意味大きな切り札。しかし向こうも持っている。敵の数に関しては未だ分からない謎。
 また、記憶の喪失がよりはっきりと描かれるようになってきた。次はどう消えたのか。
 そして黒幕。どう倒すのかがもう分からなくなってきた。

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 連載第9回。
 もうもう。救いはあるのか、というくらいの流れ。残酷の一言。
 鳳のビジョンの溢れ方はすでにテスタメント1巻の涼月や陽炎を思い出させる。冬馬は果たして届くのだろうか。
 三章突入。
 雛にも新たな重荷が。目指すべきものは見つかったが、テスタメント1巻でのこの後のことを考えると、あまりにきつく感じる。

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 連載第10回。
 量は変わらないものの展開が気になって短く感じてくる。
 ムスタファ戦から始まり、ついにAP爆弾の目的が明らかに。
 このあたりはさすがMSS。そして吹雪の活躍。しかしながら、肝心なところがずれている辺り、つらい気持ちになる。いつそれに気がつくのか。
 鳳の件はどうにも痛ましい。そして突然のモノローグ変更からの雛の台詞にしびれる。けれども/代わりに。

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 連載第11回。
 大事なものから……というのは、テスタメント1巻ラストでも大きかったが、2巻では既にそれが過酷。
 ああ、神様。
 それに対し、こちらの陣営が放つウルトラC。夕霧の行動に加え、今回は雛が活躍。あのブレークアウトの時間にこんな行動を行っていたのか。
 乙に至ってはすでに剣士の佇まい。とんでもない戦いを経て、ようやく陽炎との共闘へ。この戦いにおける達観っぷりは夕霧を思い出させる。

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 連載12回。
 赤山羊戦から地下トンネル戦まで。
 戦闘描写が最高潮!
 カリウスとアナベルの新たな戦いから、陽炎と乙、そして死闘へ。
 赤山羊の正体がなんとなく分かったところを見ても、MSSは情報に秀でているのではないかと思ってしまう。しかし敵のおかげでそれが伝わらず、MPBの情報不足になっていたのだろう。
 陽炎と乙のエピソードは一巻でも好きなシーンであった。乙から見た時の陽炎の憧れ。
 一巻で描かれたオイレンサイドに対し、二巻のスプライトサイド。その構成の妙が最大限に発揮されたのがこの回である。乙の記憶描写。鳳の不安。
 地下トンネル戦。雛の覚悟があまりに悲壮であった。一巻ではどうしてこのような状況になっていたか詳しく描写されておらず、涼月の直進する強さが際立っていた。それに対しこの二巻では、雛が敵を完全に読み切る様子、自らに課した覚悟、凄惨なフロー描写と、どうしてこうなったかが詳しく描かれている。情報戦まで担っていたとは。何もかも守ろうという想い。
 ある意味、この兵装がどれだけ強いものなのか、仲間殺しと言われる所以が分かる。雛の兵装の強さ。しかし助けに来た時の力強さといったらない。陽炎の神業。そして涼月の直進。しかし戦い方が成長した乙が陽炎や夕霧の強さを認識している辺り、この後の展開がこわい。
 一方、武装解除法の伏線も解消された上、ある意味冬真が「彼女」に届いたという点も大きい。それだけでなく、もう一人の「黒幕」が誰なのか、また「初出撃の謎」もようやく解決編に向かっていきそうそうである。チップの話は初めて出たが、これこそが一巻のラストにも繋がっているようで、重要なファクターだ。
 ラストの残酷さ。キャラクタにとっても読者にとってもあまりに予想通りながら、誰にも止められない。冬真がここをどう打開するか。
 涼月が通信で流した台詞が、ラストで無事行われることを祈る。

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 連載13回。
 前回からボリュームアップが止まらない。よく見ると連載14回だ。え、次ラストか。確かに一巻でもパレード戦が終わるとそこからはエピローグにつながっていた。
 四章。
 タイトルは一巻四章と対比か。別なのか同一なのか。
 都市の謎解きからパレード戦まで。
 敵が何を目指しているか、そしてどこまで読み切るかというのもかなり分かりやすくなった。カールクラウス、神父の読み。
 フラグ立てが多くてきつい。
 なぜこの戦いが起こったのか、どうして多くの人が殺されたのか、というのが明確になった。二人の黒幕の存在もこうしてみるとはっきりする。本当に陽炎の「あの一言」が重要だったわけである。
 神父の願いがつらい。アダー神父のパレードコース変更の理由も明らかになりつつ、どれだけの覚悟を持っていたのかと思わされる。これだけ読み切って、そして託すまでの流れ。
 バロウ神父も、グスタフ捜査官も、そしてエゴンポリも、全ては意思を抱えていた。
 パレード戦。鳳vs.赤鹿、乙vs.「彼女」、雛vs.敵陣営。ここが天王山だったという流れは一巻でも描写されていたが、文字通り全勢力が力を注いでいたわけである。そうなると、敵の戦略を読み切っていなかったことでこうなった。しかし地獄のような戦い。
 九人目は読者にとって「分かっていた」だけに歯がゆさがある。一巻で止め方に感付きかけていた夕霧を思い出す。
 オイレン勢の行動を俯瞰的に見れたことで、その後の混乱の流れもようやく分かりつつある。初出撃の謎とつながる。囚われた人、止める役割の人、最後に立っていた人。そして、受け止めた人。
 漆黒、紅蓮、白銀。描写が格好いいが、悲壮極まりない。
 そしてエピローグへとつながっていく。拳銃が個々でもつながる。雛はどう歩いていくのか。乙のその後は。プロローグで描写された鳳の続きは。一巻を読んでいると、正直不安しかない。希望が欲しい。

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 連載14回。最終回。
 大ボリューム。
 読み終わってすぐ、テスタメントシュピーゲル3を渇望するようになる。
 黒幕たちの会話もさることながら、明らかになる真実の凄さ。
 1巻では謎だった、ヘルガの経緯や教団への流れ、冬真の動きも明らかになっている。1巻のラストを違った視点からみるというのが大きい。
 「ばしっ」の音の部分が、一巻と同様に飛んでいて、ここが気になる。身代わりとはまた違う感じ。
 どこまでも守るために動く水無月。
 雛の感情の動き。心を打たれる。

 プロローグをなぞる、最後の流れ。テスタメントシュピーゲル最初のエピソード含め、全てが繋がる。力強い、涼月の言葉。

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 加筆修正後の文庫化も決定したようで楽しみ。


テスタメントシュピーゲル 1<テスタメントシュピーゲル> (角川スニーカー文庫)
冲方 丁 島田 フミカネ

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KADOKAWA / 角川書店 2010-08-01
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