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「碧の軌跡」クロスベル自治州の政治的背景の確認まとめ

 ずうっと前にgoogle documentに置いていたテキスト。改めてこっちに貼っておく。たしかネタバレ対策で書いたんだったかな。ちょっと書き直し。元のファイルは消す予定。

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碧の軌跡」クロスベル自治州の政治的背景の確認まとめ  更新2011/10/14

 タイトルの通りです。作中政治的内容の解説・分析。ネタバレ満載。プレイ終了後に確認のため読むことをお勧めします。一応各章の話題で分けておきます。

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二章終了後

■内容の整理
 二章メインイベントにより、クロスベルおよび諸国の思惑がはっきりと描写されるようになりました。本稿ではそれについて整理します。

 クロスベルの不安定さについては零の軌跡(以下零)でも語られているところですが、二章においてはそれが各国の立場から描写されました。
 独立していないクロスベル自治州がカバーできない点は主に二つ、「防衛力の不足」と「主権の不定」だと思われます。
 現実世界における「国の独立に必要な点」は有名ですが、あれは国際法からの要請のみならず実際の面でも重要です。「国民」、「領地」、「主権」ですね。そのうち前の二つはクロスベルでも当然持っていますし、作中で言及される他従属国も持っていることでしょう。というわけでクロスベルが安定するには独立として必要な「主権の完全確保」およびそれらを守る「防衛力」になるわけです。要出典。
 難しい理由は作中で重要なワードが示されました。「宗主国」。他従属国は宗主国を持っているために「主権の確保」や「独立の承認」が可能であったのですが、クロスベルはその特殊な性質上、独立が可能ではありません。帝国も共和国もただ承認することはほぼないからです。また、「法による独立宣言」も難しいのは会議中に語られました。国でない以上、法の持つ拘束力が弱いからです。
 そのため、重要なのは、他国に依存しない防衛力を確保すること、独立を宣言できる何らかの安定した場所を確保することになるわけですね。
 防衛力の不安に関しては作中で語られています。「教団事件」によるものですね。軍備が制限されている以上しょうがないのですが、拡張するには現状で帝国および共和国の承認が必要であり、二章時点で承認されることはほぼありません。
 主権の不安に関しては、どうなんでしょう? 議会制であることは示されていますが、自治州法は作中解説の通り貧弱で、投票制や主権者も明示されていません。議会でただ独立宣言しても帝国共和国承認が必要となる以上どうにもなりません。
 これらを前提において、会議後半において各国が提示した提案を見てみましょう。

■各国提案の整理
1.帝国の提案 
 警備隊の撤退、他国軍備・それも帝国軍のクロスベル配備。
 いかにもトンデモではありますが、実はある程度理にかなっているんですね。作中でも語られている通り、警備隊ではクロスベルを守りきれない可能性があります。その根拠はご存じ「教団事件」および「二章の某イベント」。よって、制限された警備隊装備よりも他国の軍備を入れろ、そうすれば軍事的に安定するから、なんて提案なわけです。
 しかしながら他国はこれを受け入れるわけにはいきません。軍事力を抑えられるとクロスベルは政治も難しくなり、それこそ帝国に首根っこを持たれるどころか帝国領土の拡張そのものになりかねません。クロスベル当国どころか共和国その他も拒否するのは当然のことでしょう。議長さんが興奮して立ち上がったのもうなずけます。

2.共和国の提案
 警備隊の軍縮、東門に共和国の、西門に帝国の軍備をそれぞれ。
 ひねり手ともいうべき提案。共和国側がなぜこれを言い出したかというと、1.の帝国案を受け入れるわけにはいかないことと、安穏ながらも両国が牽制としてクロスベルを使いやすくすること、なんてことがあげられます。提案の根拠は1.と同様。
 帝国としては面白い提案でしょう。なにせ帝国としても本気で1.の提案が通るとは思っていません。しかし西側に配備することは可能なわけで、それこそ描写されている列車砲でも置けば共和国へのけん制となります。クロスベルへの干渉もより楽になるわけで、利点は多いです。
 しかしクロスベルとしては受け入れるわけにはいきません。警備隊縮小どころか両門へ別国が配備されると戦時ではいいようにされかねず、しかも先述した「領土」領域の明確な定義も難しくなり、クロスベルがどんな土地になるのか定義することもできなくなります。
 さすが狸と称される彼の提案。特務支援課が「ひどい……」とか言い出すわけです。

3.市長の提案
 イベント後、二章を締めるディーターさんの提案。
 ディーターさん的には一番いいのでしょうが、二章時点ではかなり難しいと言わざるを得ません。ここで前文の二つ、「防衛力の不足」「主権の不定」が関わってくるわけです。
 防衛力の不足。これは作中で語られました。クロスベルは警察・警備隊の維持だけで守りきることが難しいという状況です。これでは国家の三要素を維持できなくなる可能性があります。ちなみに「クロスベルの宗主国がころころと変わっている」という台詞により背景が説明されています。クロスベルは歴史的に独自防衛力を持つような状況に置かれていないわけですね。現在の帝国共和国連携もそういう事情によるものが大きいのでしょう。
 主権の不定。これはちょっと憶測入るかもしれません。一応議会制であることは描写されているものの、クロスベルの主権がどういう状況にあるのか、自治州法の描写が不定でよくわかりません。完全に州民が主権を持っている場合それこそ独立はそこを足掛かりにすべきなのでしょうが、そうもいかないようです。議会決定で独立宣言してもどうしようもないのではないか、なんて思います。だいいち選挙制なんでしょうか。それどころか共和制なのでしょうか。自治州法が独立でないのに共和制て。
 そしてこの主権の不定により、独立宣言を周辺国が認めるか否かという問題にもつながっています。それこそほかの従属国のように法国が認めて、という流れになれば大陸的にも認定につながるのでしょうが、認定をどう得るのか難しいところです。
 というわけで各国の反応予想。帝国共和国はこれらを良しとしないでしょう。まず一つは税収10%問題。独立した場合これがなくなることから、彼らはクロスベルというお小遣い稼ぎボックスを手放すことはないでしょう。次に、クロスベルが商業的重要都市であるため、独立した場合取引等のルールが変更になります。関税などがそうですね。さらに軍事的問題とすれば単純に他国干渉がより複雑になることでしょう。リベールはかなり好意的だと思います。それは不戦条約。「国」であることで結ぶことのできる条約を、クロスベル独立後に再び結び直せば周辺の安定につながるからです。
 最後にもう一点。独立はクロスベル自体にとっていいものになるのでしょうか。

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インターミッション終了後
 独立のためのディータなんとかさんの布石が示されました。自治州法準拠ですし国際法拘束力もないので、それこそ本当に意思表示というか周辺国へのポージングといったところでしょう。議論活性化は重要なところではあります。しかしながらこんなイベントを行おうとすると、賛成していない組織はどう思うのか。その辺り気にしつつ三章とかみていこうかと思います。

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三章終了後

 政治面から見れば、たぶん布石回、なんでしょう。政治的内容についてはいくつか。
 独立に向けて動き出そうとするクロスベルとそれを阻止したい帝国共和国が揺らがせようとする展開。
 経済的動脈である鉄道に関する問題。もっともこれはそこまで政治的にかかわってくることではないのでしょうが。
 猟兵団の動き。これもまたストーリーとしては政治面と別方向。第一、帝国はこれだけの猟兵団を動かせるならクロスベルを揺るがすのも簡単な気がしないでもありません。

 三章についてはストーリー展開について色々感想を書いていますが、それはまた別の場所で。

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 とりあえずここまで。4章以降は政治的内容についてがっつりかかれているので、ここで補足するようなことはあまりないような気がします。以後はゲームにて。