諦め続ける薬

忘れることは、疲れに対する最高の薬。思い出に対する最悪の薬。

軌跡クロスベル:リベールにない場所からみる差異

 ゲーム垢で書いた分析の直し。

 クロスベル(零・碧の軌跡)には、リベール(空の軌跡)にはない場所などがみられる。
 主に、「墓地」と「病院」。前者はラヴェンヌなどにもあったが、クロスベル市が大きいことでああいうまとまった共同墓地があると認識できる。今回は墓地の話。
 これらはイベント・ストーリーに関わってくるのみならず、クロスベルの特徴を表している面がある。

 イベントについては省略。各キャラとの関係性、および横たわる謎については本編で十分語られている。

 まず示唆的なのは、クロスベル市の墓地が教会の横にあるところ。
 当然これは宗教感の説明に一役買っている。定期的に墓地へ向かう人々、慰霊碑。教会では祈る人々がいて、日曜学校があって、特別な薬の調製法があって。クロスベルではリベール以上に宗教を実務的な面からみることができる。

 リベールシリーズでは教会、ひいてはその宗教が生活に溶け込むように描かれていて、そしてそれが揺るがされるような事実が、という流れ。女神の崇拝をある程度疑うことなく信じていたあたりからそのストーリーとの絡みがみられる。
 それに対し、クロスベルではその実務性から、例えば子供たちが大体日曜学校に通うであるとか、回想の葬式シーンであるとか、行動に基づいたところが多い。一歩引いたところから宗教を見ているよな。で、それが後々のストーリーにもかかわる。本来の宗教と、それと教義を異にする別宗教の存在。
 シリーズを比較して、ストーリーに立ちはだかる要素の一つを見ると、「教義と異なる」という言葉だけでは共通しているものの、その意味は大きく異なっている。

 あとはまあ、別の話として。
 日曜学校に関しては、かなりシリーズで共通して扱われている面がある。人と人とのつながりという点だ。
 近所の子供たちの触れ合いの場、ケビンに代表される出張日曜学校、遊撃士・警察による特別授業クエスト。ロイドとエリィのつながりで日曜学校の話もあったし、キーアの日曜学校通いもストーリーに関わってきた。リベールでは学園の存在により、日曜学校以降の学習も描かれた。学園生活にあこがれるエステル。

 ラヴェンヌの墓がアガットの過去とSC五章の話へとつながった流れ、碧の軌跡の隠しクエストによる明かし方とはまた異なり、墓地の存在そのものが宗教的な設定を支えているように思う。