天使にカレンダーを…
小学生の頃かな。
前の月のカレンダーに落書きをして遊んでいた。
剥がしたカレンダーはもう必要ない。大きな紙だし、丈夫だし、遊ぶには十分。いつだったかそれで父が紙飛行機を折ってくれたときは近くの土手で一日中遊んでいた覚えがある。
今月のカレンダーに落書きをしようものならすぐさま怒られるに決まっている。そういう意味で、それを広いキャンパスにしていいというのはわくわくした。
2の倍数、3の倍数、4の倍数……と印をつけていく。その規則性にくらくらする。2の印も3のも斜めに並ぶのだ。4も6も8も。7はなんと直線、なんて考えて、当然だということに気づく。7ごとに次の行にいっているのだ。私はそんなことも気に留めていなかったのか。
5や9に法則性はないのだろうか。やがて、桂馬の動きっぽいな、と思いつく。将棋の駒の動きは前に勉強した。あんな感じ。再びのどきどき。よし、これは自分の秘密にしておこう。
やがてカレンダーは膨大な印と線で埋まる。これ以上書くスペースはない。
興味はすぐ移りゆく。紙飛行機を折ろう。半分に折って、印をつけて。内側に折られたそれらの印は、もう見ることはない。